ともに生きるために  ―潮音院檀信徒の使命―

 三宝帰依の最後にある僧とは、僧伽(サンガ)という語の略称で、仏を礼し、法を寄りどころとし、ともに生きる仲間、という意味です。ですから、大日如来を礼し、真言宗の教えをひろめ、充実した生活をしてゆこうとする仲間、すなわちこの「潮の音」を読んでおられる皆様方のことをいうのです。

 弘法大師さまは、四恩、すなわち父母の恩・国土の恩・衆生の恩・三宝の恩ということを大切にし、私たちの生活の指針とされています。まず、私たちに生命を与えはぐくんでくれた父母、生命を守り育ててくれた国土、そして精神の充実に大きな力を発揮してくれた人びと・社会、そして宗教的な心の安らぎを与えてくれた三宝、そのようなものによって今の自分があり、それを恩として強く自覚しなければなりません。ですから、その恩に報いることこそが、人生の目標となるわけです。

 『三昧耶戒序(さんまやかいじょ)』というお大師さまの著作に、「自らの身心を検知し、他の衆生を教化す」とあるように、一方では自分の中に仏を求め、他方では恩に報いるため、人びとの幸福の為に自分の力を発揮することが必要となります。そのような人々の努力が一つに結集する、それが真言宗の檀信徒や僧ということでありましょう。そして、このような力を拡大してゆき、やがて社会の平和や人類の福祉にまで貢献してゆくことこそ、私たち潮音院檀信徒の使命でなければなりません。