1、真言宗の教え

 真言宗は平安時代の始め、弘法大師さまによって開かれた宗教でありますが、その教えは真言密教とも言われています。

 その宗名が示すように、仏さまの真実の説法をそのまま多くの人々に伝えますので真言(まこと)のお宗旨、仏の言葉の宗教ということができます。

 その教えは古くインドに起こり、中国に伝えられ、それを弘法大使さまが苦労のすえ、わが国にお持ち帰りになって真言宗として開宗されたものです。ですから真言宗は三国伝来の大宗教と言うことができます。

 七世紀の中頃、インドにおいて大日如来の説法としてできあがりました「大日経(だいにちきょう)」と「金剛頂経(だいにちきょう)」を根本経典としているのでありますが、この二つの経典は、共に私たち人間がこの身このままで仏になるという即身成仏(そくしんじょうぶつ)の教えと修行を説いているとともに、この世に仏の国をつくるという大きな理想をあげ、これを実現しようとするものです。

 その教えの内容をお大師さまのお示しに従って簡潔に見ていくことにします。